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田村麻呂と阿弖流為(あてるい)(図書だより)

東北で征夷大将軍として活躍した坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)は坂将軍とも呼ばれ、「毘沙門天」の化身と言われるほどの名将としてこんにちまで伝えられてきました。そして「続日本紀」からは田村麻呂の父祖である苅田麻呂(かりたまろ)も代々皇室に仕え、その功績を称えられてきたことがわかります。7世紀の頃より律令国家の形成は北へと進められ、8世紀になると東北のあちらこちらで「建郡」がみられるようになりました。

これに対し、阿弖流為(あてるい)は蝦夷(えみし)の領袖(りょうしゅう)として、その悲劇の生涯は半ば伝説化するほど有名になりました。まつろわぬ民、それは朝廷に屈することなく伝統を守ろうとした人々のことです。稲作に適さず、湿地の多い場所で暮らす蝦夷達は主に山岳や海浜で狩猟をしながら暮らしていました。「縄文海進」がすすむ中、北上川周辺で暮らした古代の人々は気候変動とともに採集活動を柔軟に変化させたことが貝塚の貝種から推測されています。

「日本書紀」によると阿倍比羅夫(あべのひらふ)による東北への北航は連年行われ、そこで蝦夷たちと饗応(きょうおう)しながら港の掌握に努めたことが書かれています。律令国家の前、すなわち「陸奥国」になる前に築造された「藤沢狄森(えぞもり)古墳群」の出土品からは古代東北の人々の豊かな交易の様子を知ことができます。


狄森(えぞもり)古墳出土(複製品)
色をうめこんだ「とんぼ玉」は古代オリエントにみられる技術で
日本では作られなかったといわれる貴重品です。

資料提供/一般財団法人奥州市文化振興財団
奥州市埋蔵文化財調査センター

「阿弖流為時代のムラ」と「胆沢(いさわ)城の機構」についての資料です。

阿弖流為時代のムラと胆沢城の機構
~1973年に多賀城跡で発見された漆紙(うるしがみ)文書によって多くの事が分かってきました~
欠勤届や名簿は現代も使われていますね
資料提供/一般財団法人奥州市文化振興財団
奥州市埋蔵文化財調査センター

789(延暦8)年6月3日、政府は“胆沢(いさわ)の賊“を討つための軍事行動に出ます。
北上川を挟んだ「巣伏(すぶせ)の戦い」です。「阿弖流為」の名前はここで初めて登場します。

アテルイの本拠地候補です。


資料提供/一般財団法人奥州市文化振興財団
奥州市埋蔵文化財調査センター資料
~胆沢扇状地は日本最大級の扇状地です~

「田村麻呂と阿弖流為(吉川弘文館)」の著者、新野直吉は律令国家における大野東人(おおののあずまひと)の鎮守(ちんじゅ)の本計を「狄俘(てきふ)を教え諭して国家に順服させ、安定した村落生活を営みつつ中央の寛恩を確認できるようにさせ、移民された人々も安住でき、そのような農耕社会の経営安定の基盤の上に城郭(じょうかく)を築き、安定した人々の力で守る」であったとしています。けれども蝦夷たちの順化への矛盾はやがて戦いへと発展し、それは「38年戦争」と呼ばれるまでに広がりました。

また、高橋富雄は著書「蝦夷(えみし)(吉川弘文館)」のなかで、蝦夷研究がほんとうに学問らしい形になったのは戦後のことで、「単に、征服する側の歴史ではなく、征服されるがわの歴史を、それじしんとして明らかにするという見方が、研究の相貌(そうぼう)を大きく変えるようになっている。」とし、日本古代史上、辺境とか少数民族とかいう範疇(はんちゅう)が、どのように特殊な法則世界を形成するかということを例証しながら、古い研究史を内側から克服していくことの必要性を論じています。


胆沢(いさわ)城周辺の風景
~アテルイたちの声が聞こえてきそうです~

古代東北史の史料を心を込めて読めば読むほど、吟味して考察すればするほど、古代東北は古代国家と一体の関係において存在したことがわかり、もっといえば古代東北は古代日本そのものとして存在したという確認を深めるばかりなのである。古代日本の外にあった古代東北も存在しなければ、古代東北を除外した古代日本もなかったのである。

「田村麻呂と阿弖流為」 新野 直吉
吉川弘文館

福島県田村市に伝わる「大越の伝説 鬼五郎・幡五郎(はたごろう)伝説」はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=Wb46Y_h6GGw

今回、資料提供にご協力頂きました「一般財団法人奥州市文化振興財団 奥州市埋蔵文化財センター」様のホームページはこちら
http://www.oshu-bunka.or.jp/maibun/

藤沢狄森(えぞもり)古墳群出土品はこちら
http://www.bunka.pref.iwate.jp/archive/hist400

この他にも斉東野人「残照はるかに」、熊谷達也「荒蝦夷」、川越宗一「熱源」、高橋克彦「火怨」もおすすめです!